文字サイズ

皮膚に「かゆみ」を引き起こす、皮膚表面からの刺激について、詳しく教えてください。

アトピー性皮膚炎の子どもは、生まれながら皮膚の生理的な機能に弱さを持っています。
健康な肌をもつ人では考えられないような、わずかな皮膚刺激を敏感に受け取って、「かゆみ」と感じます。
ここでは、皮膚表面からの「かゆみ」刺激について、大切だと思われる順に、詳しく説明します。

1・汗・汚れ
皮膚への刺激のうち、最も重要なものは汗です。汗は塩分濃度が高く、それだけで「かゆみ」を引き起こします。
また細菌により汗がアンモニアに分解されると、皮膚のpHをアルカリ側に傾けて、皮膚の生理的防御能を低下させ、
様々な刺激物質の侵入を容易にします。
その結果、皮膚刺激に対して敏感になり、「かゆみ」を感じやすくなります。

2・皮膚表面の感染
皮膚感染症は知覚神経を刺激し、激烈な「かゆみ」を引き起こします。「かゆみ」のために「掻く」行為を繰り返し、
掻くことで皮膚を傷付け、ますます細菌繁殖に良い条件を作るという、悪循環が成立します。
皮膚表面の感染症として、ブドウ球菌などの細菌感染が最も多くみられます。
その他にも、ヘルペスなどのウイルス感染や、カンジダなどの真菌感染も、よく経験します。

3・ダニ
ダニは、皮膚の毛穴や角質層の損傷部位から皮膚内に侵入し、アレルギー性炎症を起こし、激烈な「かゆみ」を引き起こします。

4・生活用品
石鹸やシャンプー、洗剤、化粧品などの生活用品は、皮膚バリアを障害し、「かゆみ」を引き起こします。
特に、顔から首にかけてのアトピー性皮膚炎は、シャンプーが皮膚に合わないのではないかと考えてください。

5・肌着
肌着は、直接皮膚に触れるので、材質が皮膚に合わないと、アトピー性皮膚炎が悪化する事があります。
また、洗濯の仕方も大きく影響します。
肌着だけでなく、パジャマやオムツにも注意が必要です。

6・砂
砂遊びは、子どもが大好きな遊びの一つです。
しかし、砂は、皮膚を直接傷付け、「かゆみ」を引き起こします。
また、砂の中に含まれている金属や動物の毛で、アレルギー性炎症が、起きる事もあります。

7・直射日光
直射日光も、紫外線による炎症を起こし、「かゆみ」を、引き起こします。
また、皮膚免疫能を低下させ、皮膚感染症を助長させます。
雪による紫外線反射にも注意が必要です。

木村 彰宏(いたやどクリニック 小児科部長)

アレルギーの知識と情報

SALES INFORMATION