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心理面で注意する点を教えてください

アトピー性皮膚炎などアレルギー疾患は、身体だけではなく、精神にもダメージを与えます。
その結果、精神的に不安定な状態が続き、さらに「かゆみ」を強く感じやすくなります。

また、アトピー性皮膚炎の治療は、生活の場や食事面などで制約が多くなるために、その事がストレスの原因にもなります。
自分の身体に対する関心が強くなり、まわりとの関係を絶ち、自分の殻に閉じこもる傾向も見られます。

安定した精神生活を送るためには、まわりの人の温かい支えが必要です。
アトピー性皮膚炎の子どもを精神的に支える出発点は、子どものつらさへの共感を持つ事です。

「かゆみ」は、昼夜を問わずにおそってくるものだけに、生活のリズムを乱します。
眠れない・食べられないなど、その苦痛は想像を超えるものがあります。
そのために、全身倦怠・頭痛・肩こりなど、多くの不定愁訴を合併してきます。
精神的にも、無気力・集中できないなどの不安定さを判う事が多く、ひいては人間関係に支障をきたらす事もあります。

この状態から抜け出るために、何をしたら良いのか、本人にもわからない事さえあります。

皮膚の「かゆみ」にとどまらない、全身のつらさへの共感を、まわりの大人がもつ事が大切です。
アトピー性皮膚炎は、病気が外観から判断できるだけに、年長児になると他者から指摘され、大なり小なり【心のきず】を受けています。

「きたない・うつる・ちかよらないで」などの言葉できずつき、友人関係でうまくいかなくなったり、不登校につながる事も少なくありません。

「かわいそうね」という安易な同情は、アトピー性皮膚炎の子どもの人格を低める事にもつながります。

「頑張っているんだね」という、子どもの努力への共感がなにより大切です。
アトピー性皮膚炎の子どもも、まわりの大人も、この治りにくい病気と、どのようにおつきあいしていけば良いのか考えていきまょう。

皮膚の状態が極端に悪くなり、心身ともに安静が保てない時には、一時的にステロイド外用剤を十分に使用したり、 入院治療する事で、心身をゆっくりと休める機会を持つ事も必要です。

木村 彰宏(いたやどクリニック 小児科部長)

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